気づいたら歴史の舞台に立っていた
あれは高校生のときでした、成績はまるで駄目でしたが世界史を一年間学びました。 しかし成績とは切り離して、世界の歴史そのものにはずいぶん興味をもっていました。 試験に出ない歴史のエピソードや時代の背景、人々の在り様などに関心があって、その時代に自分がいたらどんな風に振舞うか、そのようなことばかり考えていた、遠い記憶があります。 その証拠に、三十数年も前の当時使った教科書で、唯一手許に残っているのが、ほかならぬ世界史の教科書です。 そのほかはとうに処分してしまいました。 あるのは辞書くらいのものでしょう。
その後、自分で旅をするようになってから、学んだ当時は想像でしかなかったその現場に立つことがしばしば現実のものとなりました。 そのたびに古い授業の記憶がよみがえってきました。 それこそ感動もひとしおです。
自分自身の経験からいいますと、そうした感動というのは、案外唐突に目の前に現れるもののようです。 写真集のなかから、遠い記憶を呼び覚ましたその場所をふりかえってみたいと思います。
先刻お断りしましたように、成績は振るいませんでした。 したがって、歴史上の出来事や事実関係などは、保存してあるかつての教科書やネットで調べた確かな内容を随時補充してまいります。 そして現場に立ったときの私自身の感動、感慨を付け加える形でまとめていきます。
2006年9月 筆者記す